公務員は安定していることから目指している人もたくさんいます。
しかしこれから公務員を目指す方の中には、「公務員になるにはどれくらいの勉強時間が必要なの?」「スケジュールの立て方が分からない」と悩む方もいるでしょう。
そこで今回は、総合職や一般職、専門職、地方公務員の上級・中級・初級ごとの勉強の目安やおすすめの勉強方法についてご紹介します。
公務員試験に必要な勉強時間の目安は約1,000時間
幅広い教科の知識が必要になる公務員試験ですが、その勉強時間はトータルで約1,000時間といわれています。
ただし、これはあくまで今まで勉強したことがない全くの未修者の人が「最低限」必要な勉強時間であり、かつ「平均」であることも覚えておいてください。
約1,000時間というのは、1日5時間の勉強をすれば半年で終わる計算になります。
これ以上多くなる可能性も充分にありますし、大学受験などで今まで勉強を頑張ってきた人や公務員試験を1度受けたことのある人はもっと短い時間で済むこともあるかもしれません。
しかし日々の仕事で忙しい社会人の方や学業・アルバイト等で忙しい大学生の方にとっては、1日数時間の勉強時間も確保するのが難しい場合も多いでしょう。
1日2時間の勉強しかできない、となると、1年半ほどの年月が必要になってくるので、勉強時間は自分が割ける日数によって変わってくるという結論になります。
【職種別】公務員試験合格に必要な勉強時間
公務員試験の科目は非常に多岐に渡っており、さらに個別面接やグループ討議などいった人物試験も課されるため、合格するには入念な対策が必要になります。
国家総合職に合格するには最低でも1年以上の勉強時間が必要
試験 | 試験種目 | 試験内容 | 解答時間 |
---|---|---|---|
一次 | 基礎能力試験(多肢選択式) 専門試験(多肢選択式) |
40題解答 49題出題 40題解答 |
3時間 3時間30分 |
二次 | 専門試験(記述式) 制作論文試験(記述式) 人物試験 |
選択問題3題 1題 個別面接 |
4時間 2時間 – |
英語試験 | TOEFLやTOEICなどで加算 | – | – |
中央官庁や裁判所、国会議事堂などに配属され、将来の幹部候補生として名だたる活躍が期待されている国家総合職。
将来の日本を背負って立つ人材として採用されるため、本省と自治体、他省庁への出向や転向を繰り返しながら勤務していきます。
そんな国家総合職を目指す際の平均勉強時間は、教養試験以外の専門分野や面接まで全て含めておおよそ1年以上。
ただし、受験者の多くは東京大学や京都大学など最難関大学の在学生や卒業生なので、生半可な試験対策では合格は難しいです。
大学卒業程度の学力を身に着ける必要がある上に、二次試験では政策課題討議試験や企画提案試験など国家総合職特有のものがあり、非常に対策が難しいと言われています。
地方上級・国家一般職するには最短半年の勉強時間が必要
試験 | 試験種目 | 試験内容 | 解答時間 |
---|---|---|---|
一次 | 教養試験(択一式) 専門試験(択一式) |
50題 40題 |
2時間~2時間半 2時間 |
二次 | 論作文試験 面接試験 |
1000文字程度の文章作成 個別面接や集団面接、集団討論など |
60~90分程度 – |
※自治体によっては集団討論を実施しないケースもあり
地方上級・国家一般職のレベルも大卒程度ですが、難易度が国家総合職よりも下がるため平均では約6~12ヶ月ほどかかります。
1日3時間~5時間ほどの勉強をコンスタントに行うことができれば合格できるでしょう。
実際の試験内容としては高校時代の教科書で学んだ知識や応用問題が出されるため、センター試験を経験したことがある人であれば楽に思える部分があるかもしれません。
地方中級~初級・警察官・消防官などは500時間程度の勉強が必要
地方中級公務員試験では、おおよそ500時間程度の勉強時間を見ておきましょう。
出題されるものの多くは中学~高校で学んできた知識が多く、難易度としてはそれほど難しくはありませんが、試験科目が多く速く解く力が求められる試験内容になっているため、事前勉強を怠ってはいけません。
また、自治体によっては教養試験のみしか行わない、専門試験を行わない、適性検査を行わないなど違いがあるので、自分が希望している自治体があれば個別に確認をしてみることをおすすめします。
公務員試験に合格するための勉強方法

公務員試験には様々に枝分かれした職種があり、各々対策方法も異なってきます。
しかし、全種に共通して使える勉強方法の秘訣が4つあります。
何としてでも公務員になるために、勉強計画にも工夫を入れて合格を目指していきましょう。
勉強法1】まずはざっくりとスケジューリングを行う
ただ闇雲にテキストを買ってとりあえず勉強してみることはおすすめしません。
なぜなら、事前知識や計画性なく勉強を始めてしまうと、ただダラダラと問題集を説き続けるだけになってしまい、効率が悪くなるどころか知識が身に着いていかないからです。
そこでスケジューリングの出番です。
まずはザックリとでいいので、半年~1年間の中期な期間を用意し、どの科目にどのくらいの時間を当てるかを決めていきます。
学生時代の定期テストのときに計画表を作ったことのある方は同じ容量で行い、苦手だと分かっている科目に重点的に時間を割り当てていきながら決めていきます。
勉強法2】配点の高い科目を優先して学習する
公務員試験には配点の高い問題・低い問題どちらもあります。
そのため、配点の高い科目から攻めていくことで効率よく勉強ができるようになります。
例えば、教養試験では「数的処理」「文章理解」の配点が高く、専門試験では「憲法」「民法」「行政法」「経済学(ミクロ・マクロ)」の配点が高めです。
このいずれかを最初に得意科目にしておくことで、大きなアドバンテージになることは間違いありません。
勉強法3】スキマ時間を使って勉強する
日常生活を送っていると生じるのがスキマ時間。
例えば、通勤や通学のために電車に乗っている時間もスキマ時間なので、そこも勉強に充てることができます。
テキストを読んだり。自分が間違えた問題をまとめたノートを読み返したりという学習が可能です。
また、寝る前も有効活用しましょう。
その日覚えたものは睡眠中に定着する、と科学的に証明されているので、睡眠前を活用しない手はありません。
朝起きてから、また再度睡眠前に覚えた部分を復習をするとより確実な定着を図れます。
勉強法4】苦手科目が見つかったらすぐに潰していく
苦手科目の克服は勉強の根幹、と言っても過言ではないでしょう。
問題集を解きながら、また模試を受けてから、など苦手分野が発生したときにはその都度潰していくようにすることをおすすめします。
苦手分野を潰すおすすめの勉強方法は、まずはごく簡単なものから手をつけ、「10分だけやろう」と時間を区切って取り組むことです。
そうすると短時間で集中してできるようになりますし、簡単なものを解いていくことで自信にも繋がるのです。
そこから次の問題へ、という風にステップアップしていくと効果が出てくるようになっていきます。
【大学生・社会人別】公務員試験合格に向けた勉強時間の作り方
【大学生向け】公務員試験合格に向けた勉強時間の作り方
大学生の場合、公務員試験の勉強を開始する前に、まずどの試験を受けるかを決めることが重要です。
試験の種類によって必要な勉強時間や科目が異なるため、受験先を決めてから試験科目を確認しましょう。
併願する場合は、教養科目と専門科目の両方を勉強する必要があります。
目安として、1,000時間の勉強時間を確保することを目標にしましょう。
勉強を始める時期は、試験の1年前、大学3年生からが一般的です。
しかし、大学の講義やサークル活動で十分な時間を取れないことも考慮し、2年次から始める人も増えています。
大学生には春・夏・冬の長期休暇があるため、これらを有効に活用して勉強を進めることが重要です。
1日の勉強時間を確保するためには、大学の講義終了後や空き時間を利用しましょう。
- 空きコマや講義の合間、夜の時間を活用して勉強する
- 目安としては、受験する前年は1日3〜5時間の勉強を目標にし、受験年にはさらに時間を増やしていく
- 試験直前期には1日10時間近く勉強することも視野に入れて計画を立てる
【社会人向け】公務員試験合格に向けた勉強時間の作り方
社会人の場合、まずは自分の生活の中でどれくらいの勉強時間を確保できるかを考えることが重要です。
仕事と勉強の両立を図るために、細切れの時間を有効に活用する方法が求められます。
- 平日は出勤前の朝活、通勤中、お昼休み、退勤後の時間を利用して勉強を進める
- 週末にはできるだけまとまった時間を確保して勉強に集中すること
勉強を始めるタイミングは、試験本番までに1,000時間の勉強時間を確保できる時期が目安となります。
1日の勉強時間は人によって異なりますが、受験する前年には1日3〜5時間程度から始め、受験年にはさらに増やしていくことが理想的です。
- 勉強そのものを生活の一部に取り入れて進めていく(習慣化)
- 最初から長時間の勉強を目指すのではなく、最初は1日1時間から始め、徐々に時間を延ばしていく
- 集中して勉強する時間を決め、その時間を守ること
- 疲れたら無理せず休むことも、長期的に見れば効果的
公務員試験は範囲が広く、長期間の継続的な勉強が必要です。
計画的に勉強時間を確保し、効率的に学習を進めることで、合格への道が開けるでしょう。
公務員試験の勉強時間以外に注意すべきポイント
面接対策・筆記試験対策も同時にすすめる
公務員試験では筆記試験の成績だけでなく、人柄やコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
面接では良い成績を取ったとしても、結果次第で合否が左右されることがあるため筆記試験対策と同時に進めておくのがベストです。
面接の形式には個別面接、集団面接、グループディスカッションの3つがあり、それぞれ対策が異なります。
面接対策には、自己分析を通じて自己PRやコミュニケーションスキルを磨くことが重要です。
十分な時間をかけて、面接の種類に応じた対策を行いましょう。
警察官や消防官なら体力試験対策も必要
地方公務員の中には警察官や消防官など、体力が求められる職種があります。
同様に、国家公務員の中でも皇宮護衛官や自衛官、衛視なども体力を問われます。
上記の職種では筆記試験だけでなく、体力試験も実施されることがあるので対策が必要です。
例えば警視庁の警察官採用試験では、腕立て伏せやバーピーテスト、上体起こし、反復横跳びの4種目が課されます。
もし体力に自信がない方は余裕のあるスケジュールづくりを立ててから取り組むようにしましょう。
公務員試験の勉強に関して良くある質問
公務員試験合格に向けた勉強はいつごろから取り組むのがベスト?
公務員試験の勉強は、試験の1年前から取り組むのが一般的です。
勉強に取り組む時期が早ければ早いほど、配点が高い科目や範囲の広い科目に時間をかけて取り組めます。
受験者 | 開始時期 |
---|---|
大学生 | 3年生の春から始めるのが理想 |
社会人 | 自分の生活リズムに合わせて1日2〜3時間の勉強時間を確保し、休日にはまとまった時間を取ることが重要 |
公務員試験に合格するための勉強スケジュールはどう組めばいい?
1週間の勉強スケジュールは、まとまった時間を取れる休日とそうでない平日で学習項目を分けて計画します。
休日は知能系科目に集中し、1つのテーマを深く理解することに努めます。
平日は知識科目や得意な知能科目の確認に時間を割き、30分ごとに科目を変えて飽きないように進めます。
スケジュール通りに進まない場合も焦らず、スキマ時間を活用する習慣を身につけることが大切です。
公務員試験合格に向けた勉強時間は1ヶ月当たり何時間を目安にすればいい?
公務員試験合格に向けて勉強に取り組むときは、以下の時間を目安に勉強を行ってみましょう。
勉強に取り組む時期 | 勉強時間の目安(1ヶ月あたり) |
---|---|
通常期 | 88時間 |
試験直前の時期 | 210時間 |
なお、1日に換算すると、通常期は平日1日当たり2〜3時間、休日は6時間の勉強時間を確保するのがベストです。
また試験前の直前期には、1日7時間の勉強時間を確保することで、試験に向けて集中的に対策を進めることができます。
公務員試験合格に向けた勉強時間は1日当たり何時間を目安にすればいい?
公務員試験に合格するためには、1日の勉強時間の目安として、通常期は2〜3時間、試験直前期には7〜8時間を確保するのが適切です。
自分の生活スタイルに合わせて、無理なく継続できる勉強時間を設定し、計画的に学習を進めることが重要です。
勉強時間をしっかりと確保するために、スケジュールを細かく設定し、集中力を保ちながら進めましょう。
社会人が公務員試験合格に必要な勉強時間は?
社会人が公務員試験に合格するためには、平均で800〜1,800時間の勉強時間が必要とされています。
1日当たりの勉強時間 | |
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平日 | 1〜2時間(仕事の合間) |
休日 | 7〜8時間 |
また、通勤時間や休憩時間などのスキマ時間を有効に活用し、通信講座を利用することで、効率よく勉強を進められます。
自分の生活リズムに合わせた勉強計画を立て、無理なく継続できるように工夫しましょう。