「通関士の難易度はどれくらい?」
「通関士は独学で合格できる?」そういった悩みを解決します。
通関士とは輸出入業務を専門に扱う仕事であり、主に税関での通関手続きを代行する役割を担っています。
通関士になるには毎年10月に実施される通関士試験に合格する必要があり、合格率は10%~20%前後を推移しており難易度は高いといえます。
そこで今回は、通関士試験の全体的な難易度から合格率、勉強法や必要な勉強時間、そして合格基準まで徹底的に解説していきます。これから初めて通関士試験の受験を検討する方は必見です。
通関士の試験難易度は高い|合格率は例年10~20%
通関士試験の合格率は年度によって異なるもの例年10~20%で推移しており、難易度が高い試験として知られています。
難易度が高い理由はいくつかありますが、「3科目すべてに合格基準があり、全てをクリアしなければいけない」「専門用語が多い」「回答の選択肢が多い」といったものが挙げられます。
普段の生活では聞き馴染みのない専門用語が多く、試験問題の択一式の問題では15個の選択肢から選ぶ問題があるので初学者には特に難しいと感じるのでしょう。
しかし、しっかりと対策をすれば十分合格できる試験でもあります。
通関士の合格率の推移
| 年度 | 受験者数 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度(2025年) | 6,322名 | 954名 | 15.1% |
| 令和6年度(2024年) | 6,135名 | 759名 | 12.4% |
| 令和5年度(2023年) | 6,332名 | 1,534名 | 24.2% |
| 令和4年度(2022年) | 6,336名 | 1,212名 | 19.1% |
| 令和3年度(2021年) | 6,961名 | 1,097名 | 15.8% |
| 令和2年度(2020年) | 6,745名 | 1,140名 | 16.9% |
| 令和元年度(2019年) | 6,388名 | 878名 | 13.7% |
参照元:税関|通関士試験、通関士試験受験者数及び合格率等の推移(第1回~第59回)
上記の表からも分かるように、通関士試験の合格率は10~20%程度で推移しています。
年によって合格率にばらつきがあることから、年度によっては問題の難易度が高かったり低かったりするなど変動があることもわかります。
通関士試験の受験科目数別の合格率
| 年度 | 全科目受験者 合格率 | 2科目受験者 合格率 | 1科目受験者 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度(2025年) | 13.9% | 10.3% | 67.2% |
| 令和6年度(2024年) | 11.2% | 10.4% | 61.3% |
| 令和5年度(2023年) | 23.0% | 22.0% | 70.8% |
| 令和4年度(2022年) | 17.7% | 17.2% | 65.6% |
| 令和3年度(2021年) | 14.9% | 10.6% | 59.1% |
| 令和2年度(2020年) | 14.4% | 20.7% | 75.4% |
| 令和元年度(2019年) | 12.5% | 12.5% | 61.9% |
参照:通関士試験
通関士試験は通関業法・関税法等・通関実務の全3科目で構成されており上記からも分かるように、1科目を受験する者の合格率は2科目を受験するよりもかなり高いです。
合格率が高い理由としては1科目の試験に集中できるためだと考えられます。
しかし、科目免除を受けるためには特定の条件を満たす必要があり、通関士試験で免除の対象となる受験者は非常に少数であると予想されます。
科目免除になる対象としてはたとえば5年以上の通関業務に携わっていた人の場合は通関実務1科目免除、15年以上の場合は関税法・通関実務の2科目は免除となります。
通関士試験の合格基準点|令和7年度(2025年度)
通関士試験は3科目から成り、各科目の合格基準点をクリアすることが必要です。
通関士試験は各科目で基準点を取得できれば合格になりますが、年度によって合格基準が変動するので気をつけましょう。
| 試験科目 | 合格基準 |
|---|---|
| 通関業法 | 満点の60%以上 |
| 関税法等 | 満点の60%以上 |
| 通関書類の作成要領その他通関手続の実務 | 満点の60%以上 |
例えば、関税法等の合格基準は2023年度は60%でしたが、2024年は55%まで下がりました。
基本的には60%以上の得点を目指して、要点を押さえた学習を進めることが重要です。また、通関実務は計算問題や事例問題が含まれるため、実践的なスキルが求められます。
暗記学習だけでは合格できない内容となっているので、過去問題の徹底分析や模擬試験の活用はもちろん、専門学校や通信講座の利用も検討すると良いでしょう。
通関士と他の国家資格の難易度を比較
| 資格 | 難易度(合格率) |
|---|---|
| 通関士 | 10~20% |
| 司法書士 | 3%〜5% |
| 行政書士 | 10~15% |
| 宅建士 | 15%〜17% |
| 社会保険労務士 | 6~7% |
| 弁理士 | 6%〜9% |
| 公認会計士 | 7~11% |
| 税理士 | 18~20% |
上記からも分かるように通関士の難易度は、宅建士や税理士、行政書士試験と同じ程度です。一方で、司法書士や社会保険労務士、弁理士の難易度は10%未満と非常に高いです。
通関士は難易度が高い国家資格ですが、他の国家資格と比べると、しっかり勉強すれば十分合格を目指せる資格と言えるでしょう。
ダブルライセンスを目指している方や通関士の資格取得を迷っている方は、他の国家資格の難易度も参考にしてみてください。
通関士と宅建士の難易度を比較
通関士と宅建士の難易度を比較すると、一般的には通関士の方が難しい傾向です。
両資格とも国家資格で合格率が10~20%前後で推移している点では似ていますが、必要な勉強時間や試験内容の特性に違いがあります。
通関士は試験内容が「関税法」「通関業法」などの法律中心であり、特に法律の学習経験がない人には難易度は高いでしょう。
通関士と簿記2級の難易度を比較
通関士と簿記2級の難易度を比較すると、どちらも国家資格・公的資格として一定の難易度はありますが、性質が異なります。
必要な勉強時間や専門性の高さの観点では、通関士が簿記2級よりやや難しいとされることが多いです。
「通関実務」科目では、関税額の計算や申告書類の作成など、正確な処理能力が問われる問題が出題されるため、しっかりと腰を据えて対策することが合格に近づくポイントです。
通関士試験の合格に必要な勉強時間
通関士試験に合格するために必要な勉強時間は初学者なら400~500時間と言われています。たとえば、1日2時間程度勉強する場合、6ヶ月程度で対策ができる見込みです。
試験は10月の第1もしくは第2日曜日なので、4月~5月あたりから勉強をすると間に合うでしょう。
法律知識や貿易関係の実務経験がある人なら独学での合格も十分可能といえますが、初学者の場合は独学での合格はかなり難しいと考えてください。
通関士試験は3科目で構成されており、それぞれの科目で満点の60%以上を獲得する事が合格基準です。
つまり、3科目あるうち1科目だけでも正答率60%を下回ると不合格になるため、通関士試験ではまんべんなく理解する必要があります。
独学でも合格する人はいますが、モチベーション維持やスケジュール管理が難しいため、通信講座の利用がおすすめです。
通関士試験に合格するためのおすすめの勉強法
通関士試験の難易度は高いため、しっかりとした準備が必要です。
ここでは、効率的に学習を進めるためのポイントについて詳しく解説します。
勉強法1】学習スケジュールを計画する
通関士試験に合格するためには、効率的に勉強時間を確保し、計画的に学習を進めることが必要です。まず、試験日から逆算して、毎日の学習スケジュールを立てましょう。
先にも述べたように、通関士の合格に必要な勉強時間は400~500時間程度であり、半年後に試験を引けているとすると1日あたり約2時間の学習が求められます。
学習内容を細分化し、毎日の目標を設定することで、進捗を確認しやすくなります。
また、週末や休日には、復習や模擬試験に時間を割くことで、理解度を深めることができます。スケジュール管理ツールやアプリを活用し、計画的に学習を進めてください。
計画的な学習スケジュールを立てることで、無理なく継続的に勉強を進めることができ、試験本番での自信につながります。
勉強法2】自分に合った教材を選ぶ
通関士試験対策は市販の参考書や問題集、過去問題集など、さまざまな教材がありますが、自分に合ったものを選ぶことがポイントです。
レビューや口コミを参考にしながら、理解しやすい教材を選びましょう。加えて、最新の法改正や試験の傾向に対応した教材を選ぶことも重要です。
さらに、分かりやすい解説が付いている教材を選ぶと、独学でも理解しやすくなります。効果的な教材を選ぶことで、効率的に学習を進めることができ、試験対策も万全になります。
勉強法3】模擬試験と過去問で対策する
模擬試験や過去問を活用することで、実際の試験形式に慣れることができます。過去問題集を繰り返し解くことで、出題傾向や重要ポイントを把握するようにしましょう。
模擬試験を受けることで、試験時間の管理や本番のプレッシャーに慣れることができます。過去5年間の問題を解くと、頻出問題や重要なテーマを見つけやすくなるのでおすすめです。
模擬試験と過去問を活用し、実践的な力をつければ、試験本番での自信を高められるでしょう。
勉強法4】通信講座を利用する
通関士試験対策には通信講座を利用することで、効率的に学習を進めることができます。自分のペースで学習できるため、忙しい社会人や学生におすすめです。
特に、専門講師による講義を受けることで、独学では難しいポイントを理解しやすくなるでしょう。
また、最新の試験情報や法改正についても通信講座ならタイムリーな情報を発信しておりキャッチできます。
さらに大手の通信講座なら模擬試験や質問対応のサービスを提供しているなど、総合的な学習サポートが受けられるのもうれしいポイント。
はじめて資格取得を目指す人や自分でスケジュール管理をするのが苦手な人、効率よく学習を進めたい人はぜひ通信講座の利用を検討してみて下さい。
通関士の試験について
ここでは、通関士試験の概要について紹介します。
| 申込期間 | 例年7月下旬~8月上旬頃 |
|---|---|
| 試験日 | 例年10月の第1もしくは第2日曜日 ※令和6年は10月6日 |
| 合格発表日 | 例年11月上旬頃 |
| 受験資格 | とくになし(学歴・年齢・国籍・実務経験などすべて不問) |
| 試験形式 | マークシート方式のみ |
| 試験時間 | 6時間(休憩1時間を含む) 9:30〜10:20(50分)通関業法 11:00〜12:40(100分)関税法等 13:50〜15:30(120分)通関実務 |
| 受験手数料 | 3,000円(オンラインで申し込む場合:2,900円) |
| 受験地 | 全国13都道府県(北海道・新潟県・宮城県・東京都・神奈川県・静岡県・愛知県・大阪府・兵庫県・広島県・福岡県・熊本県・沖縄県) |
通関士試験は年に1回おこなわれ、例年7月下旬から8月上旬までのおおよそ2週間程度の短い期間が申し込み期間となるので忘れずに申し込むようにしましょう。
試験日は10月の第1もしくは第2日曜日に行われ、合格発表日は11月上旬頃に税関のホームページに掲載されるため確認ができます。
通関士の難易度に関するよくある疑問
通関士の合格率が低い理由は?
特に「通関実務」科目では正確な計算力と応用力が求められ、未経験者には高い壁となるでしょう。
3科目すべてで、満点の60%以上を取らないと不合格になり、基礎から応用まで幅広い知識と実務的な応用力が必要とされることも理由のひとつです。
通関士は独学で合格できますか?
法律知識があり、学習時間と強い意志を維持できれば独学は有利ですが、効率的な学習は未経験者には難しいでしょう。
通関士の年収は?
勤務先が大手総合商社や大手通関業者、外資系企業では高年収が期待できます。
通関士試験の難易度を偏差値に例えると?
「通関実務」は独特な計算問題も出るため、法律系資格の中でも「狭く深く」学ぶ必要があり、偏差値58前後(明治大学レベル)というケースもあります。
難易度の高い通関士試験で合格を目指すならアガルートを受講しよう
今回は、通関士試験の全体的な難易度から合格率、勉強法や必要な勉強時間、そして合格基準まで徹底的に解説してきました。
通関士試験は合格率が例年10~20%と低いことから難易度が高く、計画的な学習と徹底した準備が必要になります。
独学でも合格できますが、仕事や学校と両立する方や効率的に学習を進めたい方はやはり通信講座の利用が最適です。
アガルートの通関士講座は必要十分に絞られたコンパクトな講義と、アウトプット重視の演習を組み合わせたカリキュラムで、合格まで最短ルートで受講生をサポートする点が特徴です。
個別指導や質問対応などのサポート体制も充実しており、学習における不安を解消できます。アガルートを受講して、通関士試験の合格を目指しましょう。
合格すれば全額返金される合格特典も魅力的です。今回の記事を参考にぜひ通関士を目指してください。
